8月 3
対新監督
総集編の編集が何とか終わった。イレギュラーの上に4時間に100人分入れるので、結構キツかった。
んじゃ、押しまくっていた取締役のオフラインやるべえか。と思っていたら!
その制作の取締役から「K(新監督)のオフライン、見てやってくれない?」あぎゃ。
何でも、撮りも酷いが、つなぎも酷いのだとか。取締役が見るには、時間が無いのだと言う。
いやあ、奇遇ですね。俺も時間無いんですよ。
でも、やります。なぜならサムライだからです。Mr.ブシドー。
見てみると、確かにおかしい。
カメラもアレだが、編集もとても独創的だ。
3シーケンスほど直してみたが、自分で最初からやり直した方が早い。
取締役にそれを伝えると、1シーケンスやってくれると言う。全部で10シーケンス。
ただ新監督Kによくよく聞いてみると、以前、社長が撮っていた作品を真似てみろ。と取締役に言われてやったらしい。
ああ、思い当たるフシは確かに…。でもこの撮り方、社長がやっていたのと意味が違うんだよな。
それを、何とか説明しようと試みるが、これが上手くいかない。
自分もそうだったなあ。会社に入ったばかりの頃は、社長に何度もダメだしを喰らい、それでも何がダメなのか、全く分からなかった。
多分、社長もどう説明したらいいのか、分からなかったのだろう、と今は思う。そして、それが今、自分にも。
説明しても、本人がそれを自分の中で噛み砕けなければ、越えられない部分。
三つほど最初から編集し直して、取締役とああでもないこうでもないしていると、新監督が「そんなに俺の編集おかしいですか?」と。
やはり、ヤツにも矜持があるのだろう。
内心思う。「若手の内に失敗しておいた方が良いのだが」
失敗の経験は、若手のうちにしておいた方がいいと思っている。新監督は自分の全力を以って編集したのだ。
それが市場で評価されなくても、それは経験になる。
取締役は、周りの評価やら会社の売り上げやら、色々考えた上で「見てやってくれ」と言ってきたんだろう。
だけど、新人が伸びなくなる可能性も孕む。自分の撮り、編集の何が悪いか、理解できないのだから。
社長が現役で撮らなくなって久しい。
社長の理念を知らないADが、この先監督として増えていくのだ。
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